今日はいよいよ帰国。セルビアともお別れと思うとちょっと寂しいです。
朝ご飯をがっつりたべたあと、散歩に出かけました。
昨日と違い、クネズミハイロ通りは人影もまばら。でも、今日は休日ではないので、通りのブティックを開く準備をしています。お姉さんたちはみんな美人。もちろん、みんなおしゃれ。
に、しても、セルビアの失業率は今２０％を越えているはず。平均月収は３万円くらい。なのに、店に並んだ靴や洋服は、４０００ディナールぐらいしたり、日本とそう変わらなかったりする。いったいどうなってるんでしょうか。
これは共和国広場のミハイロオブレノビッチさん。トルコからの解放の士です。
この辺も昼間はカフェがいっぱい出ていていい雰囲気なんだよね。
そして後ろは国立博物館。ココも行きたかったけど、時間切れ。んー、残念。
散歩のあと、ホテルに戻ってお支払い。二晩で３１０ユーロぐらいでしたかな。ちなみに、ユーロで払ったけど、おつりはディナール。うーむ。必死で使い切ろうとしている努力を水泡に帰すような仕打ちです。
ベオグラード空港まではタクシーで。ホテルのおっちゃんが読んでくれたタクシーはぴかぴかのアウディで、運ちゃんは、ミスタービーンのような顔をしていました。もちろん乗り心地はすごくよかった。運賃は高かったですが、、、（空港まで１５００ディナールぐらい？）
車がゆっくりと動き出します。お世話になったホテルモスクワをあとにして、幅の広い道路をぐんぐん走ります。
車は田園地帯に入ります。北海道のような広い畑がずーっと続くとてものどかな景色でしました。
やがて、タクシーは、ベオグラード ニコラテスラ空港にたどりつきました。ぴかぴかの空港で、サラエボよりもずっと綺麗でした。
ベオグラード空港のルフトハンザのカウンターで、チケットはあっさり手に入りました。Ｅ−ｔｉｘはとっても便利です。
実は、出国審査でちょっとばかし手こずってしまいました。
パスポートを見せるところで、「セルビア入国のスタンプがないよ」と言われてしまいました。モンテネグロから列車で来たんだよ、といったら、ふーん、と言って、スタンプを押してくれました。
手荷物検査のおばちゃんに、「ちょっとアンタ、鞄の中見せなさい！」と言われてしまいました。
がばっ、とあけられる。
「これは何！？」
「えーと、カメラの三脚、トライポッドだよ」
「……まぁいいわ。じゃあ、これは何！？」
出てきたのは、靴クリームのケース。ホテルに置いてあったからもらったんだけど、、
「ま、まぁいいわ。じゃあ、これは何なの！？」
風呂敷に厳重に包んである箱。うーん、それは開けない方がいいと思うけど、、、と、私が言うまでもなく、おばちゃんは風呂敷を開く。出てくるのは小さい箱。箱の隙間から粉があふれています。おばちゃんが、それ見なさい、これは麻薬でしょ！？という顔になって箱を開けた。出てきたのは。
ロクム。あの、トルココーヒーのお茶うけに出てくるヤツ。スーパーに売っていたのでおみやげに買っていたのです。ただ、粉砂糖がふってあるので、周りが粉だらけになるから風呂敷で包んであったのだね。
おばちゃんは戦意（？）を失ったようです。もう行っていいわよ、と鞄を返してくれました。手に粉砂糖が付いてちょっとかわいそうでしたので、持っていたウェットティッシュをあげたら、ちょっと笑って、悪かったわね、みたいな顔になりました。強面のおばちゃんでしたが、笑顔は悪くなかったです。
そういえば、残ったディナールを換金してもらおうと思ったら、「１０００ディナール札以上じゃないと、両替できないわ」と、お姉さんに言われてしまいました。うーん、ディナール、弱いですね。
仕方ないので、免税店でチョコ買っておしまい。でも、６０ディナールほど残ってしまったけど。（あ、デノミ前のなら、５０００億ディナールもってますが）
ミュンヘンに向かう飛行機は空いていました。空席が目立つ飛行機野中で、窓際を占領して、外を見ました。
飛行機はゆっくりと離陸します。
眼下には、広大なパンノニア平原が広がり、彼方には悠々と流れるドナウ川が見えました。平和そのものの景色でした。
私はただの旅行者で、正直言えば、アドリア海が見ましたいだけでしました。でも、いろいろ廻って、旧ユーゴの国々がとても好きになりました。セルビアも、ボスニアも、クロアチアも。モンテネグロも。日本とは全然違う。たくさんの問題を抱えています。同じ一つの国に戻るのは、もうないのだろうな、とも思います。あまりに多くの人が傷ついてしまっているから。１０年以上たっているにもかかわらず。
だから、願わずにいられなかったです。
どうか。
どうか、この国々が少しずつでも良い方向に向かいますように。また、来ることができますように。私が来たときに、人々の笑顔が消えていませんように。
カトリックの神様なのか、正教の神様なのか、アラーなのか、それとも、お釈迦様へお祈りしているのか、自分ではよくわからなかったけど、でも、願わずにいられなかったです。